今回の皆既日食は、アフリカ大陸から始まり、東地中海を縦断していきます。現象としての特徴は皆既時間が近年の中では比較的長い約4分間続くという点です。また、皆既日食帯の中では、リビア、エジプト、トルコなどはアクセスしやすい陸地で、気象条件も良いため、日食ツアーが数多く企画されています。クライマックスとなる皆既日食現象は、リビアでは日本時間の午後7時27分頃(約4分の皆既日食)、エジプトでは午後7時38分頃(約4分)、トルコでは午後7時53分頃に見られます。
ライブ!ユニバースの観測地点は、リビアのワウアナムス(Wau an Namus)、エジプトのサルーム(Saloum)、トルコの3ヶ所になります。当団体が複数地点から皆既日食を中継するのは4年ぶりです。当団体のメンバーとしては会長の尾久土正己はじめ7名が観測地に向かいます。トルコからの中継は、国立天文台(東京都三鷹市)との共同プロジェクトとなります。
ライブ!ユニバースが今回初めて試みることは、観測場所の画像を360度のQuick Time VR(クイックタイム・ヴイアール)*2で作成し、その中の画像をクリックすると動画が見られる表現手法を使うことです。また、全ての観測地でハイビジョンカメラを使って撮影することも初の試みです。
今回は、一般向けの配信以外に、国立天文台との協力により、全国の公開天文台やプラネタリウム、科学館などが加入する公開天文台ネットワーク(PAONET、事務局:国立天文台)の加盟館にも配信されます。そのうち、ぐんま天文台、広島市こども文化科学館、和歌山大学では、現地と各会場をTV会議でつなぎ、お茶を片手に、科学を楽しむサイエンスカフェ形式での中継イベントを予定しています。
リビアからQuick Time VRを作成して日本に送ってくる市川雄一(ライブ!ユニバース理事)は、次のように述べています。
「リビアの観測地は、砂漠の中のクレーター脇を予定しているので、珍しい観測風景を皆さんにお見せできると思います。また、皆既日食前後のゆらぎのような透明な帯状の影“シャドーバンド”*3を白い布を使ってしっかりと捉えることを目標としています」
*1 皆既日食とは
皆既日食とは、太陽が月に完全に隠されることで、重なる際には月縁からわずかに漏れ出す太陽の光が美しく輝くダイヤモンドリングやコロナとよばれる幻想的で美しい現象が見えます。皆既日食帯の多くは海上や山岳地帯であったり、曇ると観測できないといった条件がつくため、観測できる機会は限られているといえます。
*2 Quick Time VR
アップルコンピューターが開発したコンピューター上でビデオやアニメーションを再生するための技術。Quick Time VRは、自分を中心にしてグルッと360度回転して見える視界を左右に 回転したりズームイン、ズームアウトすることが出来ます。
*3 シャドーバンド
地面が暖まって上昇した空気は、上空の冷たい空気と接触すると境界を作ります。その境界面にぶつかった太陽の光が反射してシャドーバンドの影になります。皆既日食であれば必ず見えるものでもありません。皆既帯の幅、月の速度と皆既日食継続時間・月の影の移動方向・シャドーバンドの濃淡・観測地の気温なども観測場所の違いによって様々です。
【ライブ!ユニバースについて】
http://www.live-universe.org/
天文学者や天文ファン、ネットワーク技術者などが集まり、日食などの天文現象を世界各地からインターネットで中継している非営利団体。毎回、日本語と英語の2ケ国語以上のホームページを作成し、世界中の人々に天文現象をエンターテインメントイベントの一つとして提供してきました。個人のボランティアと産官学の組織による大規模ネットワークが活動活力の中心です。遠隔授業コンテンツとして学校教育や天文台などでの利用も行われてきています。活動は1997年から「ライブ!エクリプス実行委員会」ならびに「ライブ!レオニズ実行委員会」として行ってきました。2002年5月に両委員会を統合して「ライブ!ユニバース」を設立。会長は、尾久土正己(おきゅうど・まさみ)和歌山大学学生自主創造科学センター教授(前みさと天文台長)。
これまでの中継コンテンツは、http://www.live-universe.org/ja/project.html
これらの活動が認められ、今年2月、文部科学省主催の「インターネット活用教育実践コンクール」(http://www.netcon.gr.jp/)で、総務大臣賞を受賞しました。