LIVE!ECRIPSE97


Q7:

皆既日食のときにみえるというコロナとはどういうものですか?

A7:

コロナとは太陽をとりまく高温希薄なガスです。太陽の、普段、輝いて円盤状に見える部分を光球と呼びますが、そこを地球の地面にたとえるならば、コロナは地球の大気に相当します。太陽の光球自体もガスですが、コロナはそれよりも遥かに希薄です。
常に太陽の周囲に存在しているのですが、光球に比べて明るさは100万分の1と、遥かに淡いため、通常の方法では、皆既日食の際にしか見ることができません。

コロナ中のガスは、主に、電子と陽子(水素の原子核)とからなっています。太陽本体から離れるにしたがって、次第に希薄になり、太陽の大きさに比べても遥かに遠くまで広がっています。ここまでで終わりというはっきりした境目はありません。
皆既日食の際に見られるコロナは、上記の電子が光球からの光を散乱して(反射して)光ってみえるものです。光球からやや離れた部分では、電子のほかに惑星間塵と呼ばれる固体微粒子(おもに硅素や炭素からできている)が散乱する光が加わります。前者を内部コロナ、後者を外部コロナと呼んで区別する場合もあります。

コロナは電子からなりますから、その全体の広がりの形は磁場によって大きく影響されています。皆既日食の際に、双眼鏡や望遠鏡を使うとコロナ中にみられる筋状の構造は、太陽周囲の磁場の形を反映したものです。
磁場が太陽周囲で閉じている部分では、コロナのガスは、その中に閉じ込められていますが、磁場が開いていて惑星間空間につながっている部分では、コロナ内部のガスが 高速で惑星間空間に放出されており、太陽風となって遥か冥王星の先まで吹き出しています。

コロナの温度はおよそ100万〜200万度と考えられています。これに対して光球の温度は約6000度です。コロナは光球からエネルギーをもらって高温を維持しているので、これは 発見されたときから太陽研究者の間で大きな謎とされてきました。
光球から振動でエネルギーが伝わるとか、電離ガスの移動に伴う大電流で加熱されているなど様々な 説が唱えられていますが、すべての観測事実をうまく説明できる決定的な定説はまだありません。

コロナグラフと呼ばれる特殊な望遠鏡を使うと日食が起きていないときでも、コロナの観測をすることは可能です。これは、月の代わりに金属円盤を望遠鏡内部に設置し、光球からの光だけを遮るように精密に設計されたものです。
けれども、普段の昼間では青空に紛れてしまいがちで、コロナグラフを用いても、コロナの中で明るい部分しか観測することができません。淡い部分まで精密に調べるためには現在でも皆既日食は 貴重な機会です。

肉眼で見えるコロナの光は主に光球からの光を散乱したものですが、X線では光球よりも明るく輝いています。これはコロナが上記のように高温であるためです。太陽からのX線は地球の大気に遮られて地表には届きません。ですから、コロナをX線で観測するためには人工衛星が必要です。日本の宇宙科学研究所が打ち上げた「ようこう」は、こうした人工衛星の一つです。



BACK HOME PREVIOUS NEXT