2001年6月12日
21世紀最初の皆既日食を
アフリカからインターネットで三元中継
〜 LIVE! ECLIPSE 2001 〜

 ライブ!エクリプス実行委員会(実行委員長:尾久土正己 みさと天文台台長)は、6月21日にアフリカ南部で起こる皆既日食を「LIVE! ECLIPSE 2001」としてインターネットを用いて中継します。皆既日食とは太陽が月に完全に隠される天文現象のことです。太陽の周りに見える放射状の光(コロナ)などの幻想的な光景が見どころです。

 当委員会は、アフリカのザンビア、ジンバブエ、マダガスカルの3カ国に観測隊を派遣。3か所からの映像をリアルタイムで編集して1本の映像として放映します。放映時刻は6月21日、日本時間の20時35分から22時35分にかけての予定です。アドレスは http://www.live-eclipse.org/ です。

 皆既日食が観測できる時期と場所は非常に限られており、日本の近くで見られたのは1988年の小笠原沖、日本の陸地で最後に観測されたのは1963年の礼文島にさかのぼります。日本での皆既日食は2009年まで見ることはできません。インターネットを用いてこうしたまれな天体現象を中継することにより、今回の皆既日食を見られない日本のみならず、世界の方々に皆既日食という天文現象のすばらしさを体験していただくことができます。

◎今回の中継の特徴

 当委員会はこれまで皆既日食を3回、金環日食および皆既月食をそれぞれ2回ずつインターネットでライブ中継してきました。また、しし座流星群も姉妹団体ライブ!レオニズ実行委員会として同様に中継しています。これらの天文現象を合わせて10回目となる今回のLIVE! ECLIPSE 2001では、次のような新しい取り組みを企画しています。

●望遠から魚眼レンズの複数カメラによる中継
 それぞれの中継地点に複数台のビデオカメラを持ち込み、現地で映像を切り替えて送信します。太陽全体の画像だけでなく、太陽の黒点が月に隠されていく様子や、皆既日食の最中のプロミネンス(太陽から吹き出す赤い炎)、観測地の風景、魚眼レンズによる月の影が西から東に移動していく様子などの映像をお届けする予定です。

●観測地からのライブ演奏
 LIVE! ECLIPSE 2001のテーマ曲としてオリジナル曲「Mirabilia」が作られました。演奏はヒーリング・ジャズ・グループ「トラペジウム」です。トラペジウムの一部メンバーは観測地のひとつジンバブエに同行し、皆既日食終了後現地で生演奏を行い、その模様もインターネットで中継します。詳細は別紙をご参照下さい。

●遠隔講義
 国内の小学校5校および科学技術館(東京都千代田区)において、日食観測を行う予定です。 参加者はインターネットなどにより日食中継を教室で観察しながら、現地の専門家との遠隔講義の形式でリアルタイム・インタラクティブな質疑の時間も設けます。参加する児童・生徒は各校における独自の観測形態と関連コンテンツにより、臨場感ある日食観測を疑似体験をすることになります。また、コンピューターを使った理科や総合の時間などの授業にも役立てる方針です。

●観測地との交流
 観測地のひとつザンビアと遠隔講義の一部参加校、科学技術館の間でインターネットを使ってテレビ電話システムを用いて、皆既日食の前後に質疑応答を行います。日本での参加者は、ライブ画像を見るだけでなく、より深く日食を経験することができるでしょう。

●ブロードバンド時代の“ショーケース”
 ケーブルテレビ(CATV)によるインターネットやADSLといった高速回線の急速な普及により、より高画質なインターネット放送へのニーズが高まってきました。LIVE! ECLIPSEは以前から超高速研究用ネットワーク(ジャパン・ギガビット・ネットワーク)やIPバージョン6による動画伝送などの先端的な取り組みを行ってきました。今回の中継では、ブロードバンド時代の“ショーケース”という位置付けを鮮明にして、インターネット放送の先端技術を持っている企業、研究機関のご協力を仰いで、様々な先駆的な中継を行います。LIVE! ECLIPSEはボランティア・ベースで運営するイベントであるため、こうした各種企業、研究期間が参加しやすくなっています。

●テレビ衛星中継車を用いてアフリカから伝送
 ブロードバンドに対応したインターネット放送を行うためには、これまで以上にビデオの画質に気を配る必要があります。LIVE! ECLIPSEのインターネット放送の基本パターンは、各観測地からの動画像をいったん東京のエンコーディング&ネットワーク・オペレーション・センター(ENOC)に集めます。その画像を加工した後、世界に向けてインターネットで配信します。
 画像をENOCに集める部分では、アフリカからENOCまで大容量の回線をいかに確保するかという問題があります。中継地のひとつジンバブエからは三菱電機株式会社のご支援を受けて、テレビ用の衛星中継車を用いて動画像を日本まで送り届けます。

●最寄りのサーバからユーザに配信
 大規模な中継は、1か所のサーバからの配信ではネットワークが破綻してしまいます。LIVE! ECLIPSE 2001では、前回の皆既月食中継に引き続いて、最寄りのサーバからユーザに配信できるような仕組み(広域負荷分散技術)を導入します。今回はストリームサーバだけでなくWebサーバについても広域負荷分散技術を適用します。具体的にはTENBINとRADIXという技術を用います。LIVE! ECLIPSE 2001にはそれぞれの技術の開発者が参加し技術協力しています。
 さらに、各サイトでは各種ロードバランサーやクラスタリング技術を導入。高負荷が想定されるピーク時のアクセスに備えています。

●複数のコンテンツ配信サービス事業者に配信
 ブロードバンド時代に対応して、いくつもの企業がコンテンツ配信サービスに参入してきています。LIVE! ECLIPSEでは複数のコンテンツ配信サービス事業者のご協力を得て、世界規模でスムースに動画を見ていただけるようなネットワークを構築します。ストリーミングの同時アクセスは、ピーク時2Gビット/秒を想定しています。

◎以前からの特徴

 上記のほか、LIVE! ECLIPSE 2001では今までと同様に下記のような特徴をもった中継を行います。

●手作りの中継
 ボランティア・ベースでの活動で、手弁当でプロジェクトを運営しています。天文ファンのみならず、ネットワーク・エンジニア、学生など幅広いメンバーの活躍で支えられています。

● 英語版も用意
 英語のページも用意しています。日食は国境を越えたコンテンツであるがゆえに海外からのアクセスも多数あります。

●複数地点からの中継
 万が一、天気が悪くなったり、通信トラブルが発生した場合に備えて前述のように3カ所から中継を行ってリスクを低減します。

●テロップなどを入れて放映
 3つの観測地点からの映像を順次切り替えてそのまま流すのではなく、複数地点の太陽像を1画面に表示して、太陽の欠け方の違いを見比べたり、テロップを入れたりします。

●複数のストリーム方式による中継
 RealSystem(r)、Windows Media(tm)、QuickTime(r)などで中継を行います。視聴者がお持ちのソフトに合わせて、様々な方式でライブ放送を見ていただくことができます。

●学術論文
 LIVE! ECLIPSEでの活動を元に複数の学術論文が情報処理学会などで発表されています。単なる中継イベントではなく、研究者にとっては研究データを集めるための場所としても利用されているのです。

◎6月21日の皆既日食について

●皆既日食とは
 皆既日食は、太陽、月、地球が一直線に並ぶことにより、太陽が月によって完全に隠されるる現象のことです。太陽が月に完全に隠されると、太陽の周りに真珠色に輝く光「コロナ」や漆黒の空に指輪の形に太陽の光が輝く「ダイヤモンドリング」と呼ばれる幻想的で美しい現象が見られます。このとき太陽の活動状況によっては、大きなプロミネンス(太陽から飛び出す高温のガス)も見ることができます。

●皆既日食のおこる日時
 それぞれでの観測地の日食に時刻は以下の通りです。いずれも日本標準時です。
欠け初め  皆既始   皆既終   欠け終わり 
 ザンビア(ルサカ)20:4022:0922:1223:27
 ジンバブエ(ニャマパンダ)20:5222:1522:1823:29
 マダガスカル(ラノヒラ)21:1422:2622:29日没後
 それぞれの観測地点での皆既継続時間(太陽が完全に隠れている時間)は2分ほどで、平均的な長さの皆既日食と言えます。

●皆既日食が見えるエリア
 皆既日食は陸上ではアフリカ南部アンゴラからマダガスカル島にかけての狭い地域で観測できます。また太陽が完全に隠れない部分日食としては、陸上ではアフリカのマリ、ニジェール、チャド、スーダン、エチオピアから南の地域ならびにブラジル、アルゼンチンなどの南米諸国で見られます。

◎ライブ中継について

●中継地点
 皆既日食が見られるアフリカの3カ国から中継します。月の影が移動していく西から順にザンビアの首都ルサカ、ジンバブエのニャマパンダ、マダガスカルのラノヒラの3カ所です。

●中継の見せ方
 4分割画面で3カ所の太陽像を同時に見せる画面を基本としながら、注目シーンでは1つの映像だけを流します。また現地から予め送られた映像も送ります。

●必要なソフト
RealPlayer 8またはWindows Media Player7、QuickTime Player5のいずれかが必要です。

◎協力企業・団体一覧

 LIVE! ECLIPSE 2001は以下のような多数の企業、団体、個人によって支えられています。ご協力に感謝します。

●撮影協力
協栄産業株式会社、 通信総合研究所日本通信機株式会社、 フロンティアツアー、 みさと天文台三菱電機株式会社明星大学

●遠隔講義協力
沖電気工業株式会社科学技術館KANMON Project九州ギガポッププロジェクト特定非営利活動法人 中国・四国インターネット協議会広島市立大学広島大学

●集信協力
科学技術館通信総合研究所三菱電機株式会社

●エンコーディング協力
株式会社アイアイジェイメディアコミュニケーションズ(IIJ-MC)株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)インターネットマルチフィード株式会社インテック・ウェブ・アンド・ゲノム・インフォマティクス株式会社九州ギガポッププロジェクト九州大学倉敷芸術科学大学KDDI株式会社株式会社創夢通信総合研究所日本大学総合学術情報センターForUs

●ネットワーク機器、技術協力
エスシー・コムテクス株式会社ネットワンシステムズ株式会社シスコシステムズ株式会社日本ネットワーク・アプライアンス株式会社日本ヒューレット・パッカード株式会社丸紅ソリューション株式会社

●映像編集協力
日本大学総合学術情報センター

●ストリーム配信協力
株式会社アイアイジェイメディアコミュニケーションズ(IIJ-MC)アクセリア株式会社アバヴネットジャパン株式会社株式会社Jストリーム株式会社電通国際情報サービス株式会社PoD(プロデュース・オン・デマンド)

●Webホスティング協力
アバヴネットジャパン株式会社株式会社インターネットイニシアティブ(IIJ)サイバー関西プロジェクト東京大学

●コンテンツ作成協力
倉敷芸術科学大学国立天文台、 James Fowler氏、蛭田 直氏、 和歌山大学

●音楽協力
ビクターエンターテインメント株式会社Lyra Records

●アンケート協力
国立天文台佐賀大学理工学部知能情報システム学科、 佐賀大学理工学部ベンチャービジネス支援先端技術講座、 株式会社ネットマイル

●特別協力
情報通信月間協議会(総務省)Streams-JP Mailing ListSUBARU すばるアストロ総合ステーション(三菱電機インパクサイト)天網の会bunji.tv

◎ライブ!エクリプス実行委員会について

 ライブ!エクリプス実行委員会は、アマチュア天文家や天文学者、天文台関係者、SOHOワーカー、ネットワークエンジニア、学生をはじめとする大勢の個人ボランティアがインターネットを主なコミュニケーション手段として運営する非営利団体です。実行委員長は、インターネットを利用した天文普及プログラムで実績のある和歌山県のみさと天文台の天文台長尾久土正己が務めています。

 当委員会は、1997年3月の皆既日食の世界初のインターネット多地点中継を皮切りに、これまで7回にわたって皆既日食と金環日食、皆既月食のインターネット中継を手がけてきました。また姉妹プロジェクトとして、しし座流星群のインターネット中継も1998年と1999年の11月に実施しており、これを合わせると過去9回のインターネット中継実績があります。最新のインターネット技術を駆使したユニークなプログラムの展開により、いずれも世界100ヶ国前後から多くのアクセスを獲得し、天文イベントのインターネット中継で着実に実績を積んでいます。

◎報道関係お問い合わせ先

ライブ!エクリプス実行委員会
広報担当 石川慶子
E-mail: press@live-eclipse.org


以上

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