日食について 3回連載
日食についての解説を3回にわたって連載していきます。

第1回 日食とは?

(6 月 1 日)
1.日食とはなに?
2.日食は珍しい
3.今回の日食
4.日食の種類
第2回 日食で分かること
(6 月 8 日)
5.日食で分かること
6.太陽のリズム
7.コロナの形:今回のみどころ
第3回 太陽と地球の関係
(6 月 15 日)
8.太陽と地球の関係
9.用語集


第3回 太陽と地球の関係 

第3回 太陽と地球の関係
8.太陽と地球の関係
9.用語集
 
8.太陽と地球の関係
◆太陽の磁気活動とコロナ

まず始めに、太陽が極大期になると、コロナの見え方が違うだけでなく、その他いろいろな現象が活発になります。
太陽の極大期には、黒点が増え、太陽風がきつくなります。

そこでなぜ極大期になると黒点が増えるのでしょうか。それではまず黒点とはです。


(黒点付近の図)
「6.太陽のリズム」でも少し紹介しましたが、黒点というのは光球上に見える黒いしみのようなもので、まわりより温度が低いので黒く見えます。
絶対温度で約4000〜4500度で、 強い磁場を持ちます。
黒点は強い磁場を持っていてその磁性は地球の数千倍にものぼります。
ではなぜ黒点は周りより温度が低いかというと、黒点の強力な磁性により、直下の対流が妨げられ、対流に乗った熱がのぼりにくくなるからです。

極大期になると、太陽の磁場は活発になります。
すると磁場の歪みも大きくなるから黒点が増えるのです。
このように極大期になると黒点は増大しますが、極小期はその逆で黒点が1つも現れないときもあります。
17世紀の小氷河期には、黒点がほとんどない時期があり、ロンドンのテームズ川では、長い間、川が厚い氷に閉ざされていたそうです。
この時期は、イギリスの天文学者マウンダーにちなんで「マウンダー極小期」と呼ばれています。
そして、この黒点の活動が活発になることによって、コロナにも影響を及ぼしていきます。
コロナの温度は、100万度にも及び、プラズマ状態のガスの状態にあります。
そのガスは、フレア爆発がおこると、1000万〜3000万度Kまで加熱され、プラズマを猛スピードで惑星空間へ放出します。
最終的には太陽風となり、太陽系空間を吹き抜けます。

さて、この黒点数の増大が太陽風に影響を与えているのですが、では実際にその太陽風とはどのようなものでしょうか?

◆太陽風とは

次は太陽風の問題です。
太陽風は絶えず太陽から放たれ、太陽系の彼方先まで流れています。
太陽風は主にプラズマで、そのプラズマの粒子の速度は300km/sから数百km/sの間にあり、粒子の密度は太陽からの距離とともに減少しますが、地球の公転軌道あたりでは1立方cmあたりに1個ぐらいです。

太陽風はいろいろな要因で放出されるのですが、その1つにフレア爆発があります。
フレア爆発とは、太陽黒点の磁場の歪みによって引き起こされる現象です。
黒点の磁場の強さは地球の磁場の数千倍もあります。
この強い磁場のエネルギーがフレア爆発の元になっています。
黒点は太陽内部でつくられた磁場の管が太陽の光球面 に浮上してできたもので、磁場の管の切り口に当たります。
磁場の管は太陽内部でねじ曲げられたり、浮上してからまわりのガスの流れに押されたりして、よじれたりします。
磁場の管のなかにだんだん歪みがたまっていくと、どこかで歪みが耐えきれなくなり、大爆発がおきます。
これがフレア爆発です。
たまっていた磁場のエネルギーは、熱に変換されてプラズマを数千度Kの超高温に加熱したり、プラズマの雲の激しい運動を引き起こします。
このように、極大期には大きなフレアが頻発し、太陽風は激しくかき乱された状態となります。
そのことに関連して、太陽フレアやプロミネンスなどの爆発によってコロナが惑星空間に放出される現象を「コロナ質量 放出」と呼んでいます。
プラズマを閉じこめるコロナの磁気構造が、惑星空間に大きくパッと開いた形に激しく変化する現象で、2日後にはもう地球に吹きつけ、磁気嵐を起こしたり、オーロラを輝かせたりします。
また、太陽風は、コロナホールから吹きつける風も原因となっています。
コロナホールとよばれる、まわりより暗くてまるでコロナに穴があいているように見える「コロナの吹き出し口」から太陽の引力を振りきって激しく太陽空間に流れ出し、秒速600kmとか700kmの猛スピードで地球に吹きつけてくることになります。
この南北の極域のコロナホールからは高速の太陽風が吹き出しますが、このほか赤道域からも低速の太陽風が吹き出してくるので、地球にはこの2つの太陽風が交互に絶え間なく吹きつけてくることになります。

この太陽風が、地球にどのような影響を与えているのでしょうか?

地球には磁性があります。
そのおかげで、地球は大きな磁石になり、地球の周りには磁界が起こります。
その磁界と、太陽から来た太陽風とがぶつかって、放電現象を引き起こします。
それを地球上で見たものが、オーロラと呼ばれるものです。では、次にオーロラについて紹介します。
◆地球に及ぼす影響

オーロラは、地上で私たちが体験できる宇宙の物理現象です。
地球は巨大な磁石であり、その磁気圏がバリアとなって太陽風の侵入を防いでくれ、その直撃から我々の身を守ってくれています。
それでも太陽風は地球の磁気圏を彗星の尾のように夜の側の後方に長く引きのばし、その磁気圏の尾の部分で太陽風磁場と地球磁場の磁力線との間にリコネクションと呼ばれるつなぎ換えがパチッと起こることによって、本当なら地球磁気圏に入り込めないはずの太陽からのプラズマがつなぎ変わった磁気圏のはるか後方から地球につながっている磁力線を通 って逆戻りするようにして侵入します。
その太陽風の粒子はいったん地球磁気圏のしっぽの「プラズマシート」と呼ばれる所にたくわえられます。
そして極地域の地球大気の中へとふりおとされ、高層大気の高度70から100qの間−ただし、100から110kmで最大−に存在する原子と衝突し、赤、青、緑などの色鮮やかなオーロラを輝かせることになります。
2000年4月と11月には北海道でも11年ぶりにオーロラが発見されました。
極大期には、大規模で色に変化のあるオーロラが出現する可能性が高くなります。
その他に地球に及ぼす影響としては、磁気嵐、デリンジャー現象と呼ばれる現象があります。
磁気嵐は、最初に発見された太陽と地球との間の関係です。
デリンジャー現象とは、電波障害を引き起こす現象です。
このような現象があるため、現在では、太陽観測所での太陽監視が行われています。
最後に、オーロラの研究には、まだ未知の謎があり、オーロラを光らせる粒子がどこでどのようにして加速されているのか?や、オーロラがなぜ薄いカーテン状になってあらわれるのか?などの未解決の問題があります。
このHPを見ているみなさんもこの問題を考えてみてはいかがでしょうか?

(太陽風と地球の磁気圏の構造図)
地球は太陽コロナから吹きつける太陽風のプラズマが運ぶエネルギーの危険な流れにさらされていますが、地球磁石が磁気圏の防衛バリアをつくり守ってくれています。

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9.用語集

オーロラ 極光とも呼ばれる。オーロラの光は、太陽風からの加速された高速粒子や陽子が地球上層大気の酸素・窒素・水素原子や分子に衝突して発する。光の色は緑・紫・赤・黄・白などの間で急速に変化し、形はカーテン状のものが有名である。主に地球の高緯度の夜空で観測される発光現象だが、大フレアが起こると低緯度地方でも見ることができる。 出現は太陽活動の極大期から3〜5年後の太陽風のはき出し口のコロナホールが発達する頃の方がよく見える。

皆既日食 皆既日食の観測は一般相対性理論の検証、太陽の彩層・コロナ、太陽電波、電離層等の研究に重要。

金環日食 月は地球から年間約3.8cmずつ遠ざかっているので、遙か遠い将来には金環日食しか見られなくなる。

黒点
(太陽黒点)
太陽の表面に黒っぽい領域として現れる磁気嵐。太陽内部でつくられた磁場の管が太陽の光球面 に浮上してできたもの。数百〜数千ガウスの強い磁場をもつ。黒点は周囲よりもおよそ摂氏で1500度温度が低い。このため光球と対比し黒く見える。黒点の出現度はウォルフ黒点数で示され、平均周期11.1年で増減を繰り返し、太陽活動の盛衰を示す1つの指標となる。黒点の多いときは太陽からの紫外線・X線・微粒子線の放射も活発で、したがって磁気嵐やオーロラなどが起こりやすい。

コロナ

コロナは太陽の希薄な上層大気で、太陽から出る磁力線に沿って筋模様がみえます。温度は100万度と高温ですが、普段は光球の明るい光によってみえないため、コロナグラフを使わないと見ることができません。コロナを肉眼で見ることが出来るのは、光球の明るい光が隠れた皆既日食の時だけです。コロナは太陽活動やコロナホールの位置関係によって大きさや形が変わります。


コロナグラフ 皆既日食時以外でもコロナを観測できる特殊な望遠鏡。

コロナホール コロナの中で、密度と温度の低い広がった領域で、そこから太陽風が吹き出します。

彩層 光球の上、厚さ2000kmほどの太陽大気層が彩 層で、光球の光に埋もれ、普段は見ることができない。皆既日食の時、光球が隠れると見え、赤く輝くので彩 層という。

サロス周期 状況のよく似た日月食が繰り返す周期。前600年ごろカルデア人が発見したのでカルデア周期ともいう。長さは223朔望月、つまり6,585と1/3 日、現行暦で、18年と11〜10日。

磁気嵐 地球磁場の水平成分が大きく減少する現象で、太陽のフレア(太陽面 爆発現象)によって作り出される荷電粒子(プラズマ)が地球近傍までやってくると起こる。数時間以上続く。

シャドー・バンド 皆既の直前・直後の短い間に地面を移動していく、さざなみのようなざわざわした不規則な帯状の影を、シャドー・バンド、すなわち“影の帯”と呼ぶ。

ダイヤモンドリング 皆既日食が終わる瞬間の、まるでダイヤモンドの指輪のように輝く太陽を ダイヤモンドリングと呼びます。太陽が月から出てくる直前に、月の深い谷間からこぼ れて輝く太陽の光が、このような美しい姿を見せてくれるのです。

太陽電波 太陽から放射される電波。地上で波長0.4cm〜20mの範囲が観測可能。太陽の放射は全波長域にわたり、強度は時間的に不変で、そのうちメートル波はコロナから、センチメートル波は主に彩 層から出る。

太陽面爆発
(フレア)
黒点群の上のコロナの中で、黒点の磁場の歪みをエネルギー源とすると考えられる激しい爆発が起こり、強い電波やX線および太陽風が数十分にわたって放出される現象をフレアという。

デリンジャー現象 強いX線が地球の電離層を攪乱し、無線通信が妨害される現象。普通 1時間以内で回復する。

部分日食 太陽の一部分が月に覆われ、三日月の形になった太陽を部分日食といいます。
部分日 食時に地面に映る木もれ日を見ると、いくつもの太陽が欠けて見えます。

羊斑
(プラ―ジュ)
黒点群の上に当たる彩層部分には縮れた羊毛状の斑紋が見え、これを羊斑(プラ―ジュ)という。

プロミネンス
(紅炎)
太陽表面から立ち上る炎のような赤い模様。太陽活動が活発なときや太陽表面 に爆発(フレア)が起こったときには大きなプロミネンスが輝く。

ベイリービーズ 月表面に連続する谷から太陽の光がいくつもこぼれ、まるで光の数珠が繋がったよう に見える現象をベイリービーズと呼ぶ。特に、太陽と月がほぼ同じ大きさの日食の時に は、このビーズは環状になり、ベイリービーズのネックレスとなる。

本影すい 太陽を覆い隠す月の本影のことです。月の本影は地表で100キロ〜200キロの直径であるので皆既食は非常に限られた領域でしか見られません。月の本影は地表を約15km/分の速度で西から東へ移動し、 それに伴って皆既日食の見える地域が移動します。

ワッツの月縁図 月縁の凹凸を図にしたもの。この図を用いて、皆既食の始めと終わりに月のどの部分から太陽光が漏れるかを予想することが出来る。

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